右利きと左脳、左利きと右脳
いきなりですが、あなたは左脳が右半身、右脳が左半身を支配していることを知っていますか?
友達にこの質問をしたときに半数の人が知っており、残りの半数は知りませんでした。なぜそういう構造になっているのかという事は僕もわからないですが、首のところで神経と血管が交差しているためにこのようになっています。
すなわち、右手を動かそうと思えば左脳から、左手を動かそうと思えば右脳からそれぞれ命令を出します。
人間は日常生活を送っている上で、利き手の方が細かい動作をたくさんするわけですから、右利きの人であれば左脳からの命令が多くなり左脳が活性されるというわけです(左利きの人は右脳)。正確に言うと、右手を動かすときに右脳がまったく働いていないというとそういうわけではありませんが、左脳と比較すると、活発度は低いです。
と言う事は、右利きの人は左脳が活発に働くから、左脳が発達し、左利きの人は右脳が活発に働くから右脳が発達するのではないでしょうか?
これについては、久保田競さんの「手と脳」の本の中に"左右の脳の形は、利き手によって変わってくる。右利きの人の側頭平面は左脳で広くなるが、左利きの人の人の側頭平面は、左脳で広いことも右脳で広いこともある"と書かれていました。
左利きの人の人の側頭平面は、左脳で広いことも右脳で広いこともある!!!
それは左利きの人は左脳が発達する人もいれば、右脳が発達する人もいると言う事を意味しています。このサイトの右利き・左利きのトピックスで、右利きの人はほとんどすべての事について右手を使い、左利きの半数くらいの人は用途によって右手と左手を使い分けると書きました。あくまで僕の推測ですが、左利きの人は日常生活において、左手と右手を使い分けている人もいるので、左脳が発達している人、右脳が発達している人がいるのだと思います。
利き手と言語脳
上の話で出てきた右脳と左脳の役割について、一般的には右脳は空間認知、左脳は言語処理を担っていると言われています。この事についても利き手と重要な相関関係があります。実は言語脳において右利きの人の90%以上は左脳にあるが、左利きの人の60%が左脳にあり、40%の人が右脳にあります。
ここで、右利きの人と左利きの人の文字を書く時の脳血中量変化を示す絵を下に載せる。(上記の本より引用)ちなみにここでの左利きとは日常生活においてある程度右手を使うことができることを前提としていており、完全に左手しか使えない左利きの事ではないので注意してください。
この2つの絵からも右利きの人は左脳側で大きく活動しているのに対し、左利きの人は左脳と右脳の両方が同じくらいに活動している事が読み取れます。今まで同様右利きの人は極端に偏り、左利きの人は半々に分かれていています。他にも「失語」という観点から利き手と言語脳について見てみると、面白いことがわかります。
失語の原因として、左脳及び右脳の損傷であるものを集めて統計を取った結果、右利きの人の場合は90%が左脳の損傷が原因で、左利きの人の場合は50%が左脳、50%が右脳の損傷であるということがわかりました。ここでも、右利きには偏りがあり、左利きは半々でした。
これはすなわち、左利きの人は左右どちらの脳の損傷でも失語になり、右利きの人は左脳の損傷でしかならないということです。これなら右利きの方がいいと思ってしまうのですが、失語からの回復という点で、右利きの人は25%程度しかなく、逆に左利きの人は75%くらい回復したことからどちらがいいとは言い切れません。
すなわち、言語に関して、右利きの人は左脳に集中しているために、一度左脳が損傷すると回復する確率が低く、逆に左利きの人は左脳及び右脳をまんべんなく使うために、仮にどちらかが損傷しても、回復する可能性が高いということになるのではないでしょうか。