左手で文字を書く
さて、実践編のレベル3は、日常生活において最も必要な「文字を書く」についてまとめます。手だけに着目すると、次のLEVEL4における「スポーツをする」よりもはるかに繊細さや正確さが必要とされるので、これを完璧に左手でこなすことができれば、両利きであると言ってもいいと思います。
日本語は右利き仕様
日本語(文字)における横線の書き方は一般的に左側を始点として、右に線を引く動作がそのほとんどです。すなわち、右手で書く場合は自分の手に向かってペンを引いてくる動作を行い、左手で書く場合は自分の手から遠ざかるようにペンを押し出す動作を行います。
右手で書く時の引いてくる動作は、紙に対して滑らせるためにスムーズにペンを動かすことができます。ところが左手で書く時の押し出す動作は、ペンを紙に突き刺す角度で押すため、真っすぐに動かすのが難しいです。
それが直接の原因なのかはっきりとはわかりませんが、左利きの子供は一定の割合で、鏡文字という左右を反転させた左手で書きやすい文字を書いてしまいます。
また、一般的に綺麗と言われる横線は、完璧な水平ではなく、約6度右に上がりになります。この右上がりは右利きの人にとっては簡単ですが、左利きの人にとっては非常に難しいです。それは手首の関節と関係があります。
右利きの場合、横線を引こうとすると、手首を外側に曲げます。そうした場合、何も意識しなければ、横線は右上がりになります。しかし、左利きの場合は手首を内側に曲げて、横線を書くので、意識しなければ、右下がりの直線になります。
なので、左手で横線を書く場合には、極力手首を曲げない様に書かなければなりません。これが非常に難しいので、左利きの人は、横線をあえて右から左へ書いたり、指だけを使ったぎこちない書き方となります。
平仮名を書いてみる
まず何も考えずに「あ」~「ん」まで書いてみましょう。おそらく下のような感じでカクカク文字になると思います。ちなみに下の画像は僕の知り合い(右利き)に左手で書いてもらいました。
見てみると「い」や「り」などの線を上下に引く文字に関しては、問題なく書けています。しかし、曲線や線を左右に引く所をみてみると、明らかに文字がつぶれています。
実は、この曲線が平仮名を書く時に一番苦労するところです。なぜなら、直線に比べて曲線は手首の力加減や精密さが必要されるからです。なので、綺麗に書くのは非常に難しいです。
そこで僕がお勧めするのは、○△□を綺麗に書けるように練習することです。この3つの記号は非常にシンプルですが、曲線、斜め線、横線を書く時に適した手と指の力加減を覚えるにはうってつけなので、左手の感覚をつかむ一歩として練習しましょう。
漢字を書けるようにする
上で曲線及び横線しっかりと書けるようになったら、おそらく平仮名はある程度書けるようになりと思います。そうすると、次は漢字という事になりますが、漢字は平仮名とは違い、直線のみで構成されています。
直線よりも曲線の方が難しいので、綺麗な文字は書きやすいのですが、小さな文字を書くことが大変です。何しろ画数が10以上あるものもたくさんあるので、それをバランスよく決まった枠に入れるのは想像以上に大変です。
最初の内は、不恰好で自分が思っているよりも大きな文字になると思います。なので、何もない白紙に書くよりも、レポート用紙やノートなどのラインがあるものに書き、自分で大きさやバランスを確かめてください。
焦らずじっくりと上達していきたい方は、毎日少しずつ書いてください。また、なるべく早く上達したい方は、小学生用のドリルなどでしっかりとした手本をなぞることによって、その形を左手を覚えさせてください。
早く綺麗に書けるようにする
もし、あなたが左手の練習を怠らなければ、右手と同じくらいに綺麗に書くのに8か月(早ければ半年程度)はかからないと思います。しかし、これはゆっくりと綺麗に書くことができるということです。
利き腕である右手と同じスピードで書くのはすさまじく大変です。特にハネやハライ時の紙からペンを離す瞬間の微妙な力加減に注意しながら書いていきましょう。
以上で今回の両利きのためのstep3.左手で文字を書くについて終わります。次は実践編最後のステップであるスポーツについてです。