左利き短命説の根拠
今回は、左利きの寿命が短いのかについて書いていきます。
よく左利きの人は短命だと言われていますが、そもそもその主張はカナダの研究者によって発表されたものです。
その根拠として
- 男性よりも女性の方が平均寿命が長い
- アメリカの野球選手において右利きの選手の方が寿命が長い
- アンケート調査によって、左利きの方が寿命が短かった
の3つを挙げています。
まず、男女の平均寿命についてですが、これは男性よりも女子の方が平均寿命が長い事と左利きの割合が男性の方が多いと言う事から、左利きの寿命は短いとしています。
上の男女別の平均寿命を示すグラフから、確かに女性の方が平均寿命が長い事がわかります。しかし、男性が女性よりも寿命が短いのが、左利きが多いからだというのは、根拠もないデタラメです。
次に、アメリカの野球選手の平均寿命についての調査を詳しく調べてみると、左利きの平均寿命は64.0歳、右利きの平均寿命は64.6歳となっていました。確かに、左利きの方が平均寿命は低いですが、たった0.6%と明確な差異はなく、これだけで、左利きの方が短命であると主張するのは、難しいでしょう。
最後に、アンケート調査については、郵送で利き手と死亡年齢を親族に問い合わせて、ものを根拠として出していますが、回答率が35%程度と低いことから、これも左利きの平均寿命が低い根拠というには弱いものです。
左利き短命説を最初に提唱したカナダの研究者は最終的な結論として、各年齢層における右利き率をグラフ化したものを1981年に出しています。そこから年齢と左利きの割合のグラフを作成すると
このグラフを見ると、80歳における左利きの割合は0%で、年齢を重ねるごとに減っていっています。しかし、その根拠たる上3つがあまりにも脆弱なので、信憑性はほとんどないと思います。
本当に左利きの寿命は短いのか?
左利きの平均寿命が短いと最初に主張した根拠の信憑性がかなり低いという事がわかりましたが、では本当のところはどうなのでしょう?
実はブラジルの研究者が、上のアンケート調査形式で調べた研究データがあります。まず、その調査方法なのですが、郵送ではなく、実際に葬儀屋に依頼しをして、亡くなった方に直接インタビューをする方法です。
インタビューされたご家族の方はいい気持ちはしなかったと思いますが、しかし、返答率が92%と非常に高いデータを取ることに成功しました。
上のデータと比較しやすいように、各年齢層と左利きの割合をグラフ化したもので、2002年に出されたものです。元データは男女別で出ていましたが、ここでは、その平均をとっています。
まず左利きの割合が3%~10%と少ないですが、元々の左利きの割合が10%前後なので、それはあまり気にする必要はありません。
上のグラフを見てみると、90歳以降のところで、急激に左利き率が増えています。では、左利きの方が高齢になるほど割合が高いので、右利きの平均寿命よりも長いかと言えば、そうではありません。
このグラフだけでは、どちらの平均寿命が長いのか推測できないというのが、答えです。
実際にこの調査をしたブラジルの研究者も左利きの方が寿命が長いとまでの結論はつけていませんでした。これは、あくまでも年齢が上がっても、左利きの割合が急激に減るという事はないので、左利きの寿命が右利きに比べて低くなる事はないという事を示したものです。
左利きの寿命を下げる危険性のあるもの
上の研究データから左利きの平均寿命が右利きよりも短いと言う説は崩れました。しかし、実は左利きの寿命に悪影響を及ぼす可能性があるものについて、少し紹介したいと思います。
物理的要因(機械のトラブル等)
世の中のほとんどの物が右利きの人用に作られているのは、みなさんも知っているでしょう。代表的なものとしては、はさみやマウスや包丁や腕時計などがありますが、車や大型の機械などもそのほとんどすべてが右利き用に作られているので、左利きの人には、扱いにくいものになっています。
この車や大型機器などは、仮に事故を起こしてしまうと、大きな怪我や死亡事故にもつながります。なので、右利き仕様で操作等にリスクを生じる恐れのある左利きの人は注意が必要です。
実際にアメリカで事故による外傷患者と利き手の関係を調べた結果、左利きの方が右利きよりもはるかに多いという研究結果を報告しています。また、左利きの方が骨折しやすいというデータもあります。
これらの事は、左利きの人の寿命を下げる要因になります。
精神的要因(ストレス等)
この右利き社会を生きていく上で、左利きの人たちは、様々なストレスにさらされます。
例えば、みんなでご飯を食べる時には、左手がぶつからない様に左端に座らないといけない、日本語も右利き仕様なので非常に書きにくい、電車の改札や自販機では投入口が右側にあって入れにくいなどがあります。
右利きであれば、何も感じないような事でもストレスを感じてしまうので、ただでさえストレスの多いこの社会中では、ストレス地獄に陥ってしまいます。
これもまた、左利きの人の寿命を下げる要因になります。
このように危険要因の多いのは左利きの宿命ではないかと思います。でも、大丈夫です。このサイトを見て楽しみながら両利きを目指せば、ストレスも感じませんし、これからの日常生活においても便利になる事間違いありません。