左利きと聴く力
今回は、左利きと音楽の才能について書いていきます。
まず、音の大きさ、音の高低の分別や音の抑揚、音調、リズムなどの韻律に関しては、右脳で処理する方が優れているという事は、証明されています。また、同じ言葉における意味の違いを理解する力も右脳が優れている事が実証されています。
同じ言葉における意味の違いとは、例えば、「いい」と言う言葉は、了解と言う意味もあれば、拒否の意味もあり、さらに疑問の意味もあるという事です。
それは、言い方や表現を変えれば、言葉の意味自体が変わってきますが、それを表現したり聴き分けたりする能力は右脳の方が優れているという事です。
すなわち左利きの人の方が単純に音を聴く力があると言えるでしょう。
左利きと音楽の才能
次に音楽の総合的な能力と利き手に関して書いていきます。
上記で音楽を聴く力は右脳が優れているので、左利きの方が聴く力があるとわかった事から、多くの研究者が左利きは音楽の才能があると予想を行い、たくさんの実験を行いました。
その結果は、左利きの方が総合能力が少し高いというデータもあれば、利き手によって音楽の能力は変わらないというデータもあり、現段階においては、利き手と音楽の才能との相関関係はないと考えてよいと思います。
しかし、面白いデータがあるので、ここで紹介します。
幼少期における利き手を音記憶能力に関しては、ほとんど相関性が見られなかったのに対して、音大生で同様の利き手と音記憶能力を調べた結果、圧倒的に左利きの人の方が能力が高かったというものです。
また、音楽家においてピアノやハープなどの楽器では、両利きや左利きの割合が高かったが、ヴァイオリンやフルートなどの楽器では、そのような傾向が見られないというものです。
この2つの事から、幼少期においては、顕著にその才能の差は現れないが、成人に近づくにつれて、日常的に右脳を鍛えられる左利きの方が音楽的な能力が高まるのではないかと考えられます。
特に、ピアノやハープなどの左右の手がそれぞれ独立した動きを必要とする楽器では、非利き手の動きがネックとなるために、両利きまたは、普段から非利き手を使う事が多い左利きの人の方が、有利となったのではないかと考えられます。
もし、ピアノやハープなどの楽器を練習するために、左手の訓練をされる方は、こちらの左利きになる方法や両利きになる方法を参考にしてください。
音楽の能力を高めるには
最後に音楽の能力の高める方法について、少しだけ書きます。
その方法とは、ずばり左耳で音を聴くという事です。
これは、音を聴き分ける力は右脳の方が優れているという事は上で説明しましたが、左耳で聴いた音は最初に右脳で処理されるために、音をしっかりと聴きとることができ、またその音の記憶力も高くなります。
実際に音楽専攻の学生とそうでない学生とで、音系列を聴き分けるテストをした時に、音楽専攻の学生たちは、左耳で聴くの人が多いに対して、非専攻学生たちは、右耳で聴く事が多かったというデータがあります。
また、音楽専攻の学生において、左耳で聴いた場合と右耳で聴いた場合では、左耳で聴いた方が成績が良かったというデータもあります。
なので、もし、普段右耳で音を聴いている人であれば、左耳で音を聴くことをお勧めします。